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『愛のようだ』 [本]


『愛のようだ』 長嶋有 著


1月30日(土)、
FMヨコハマでオンエアされている
books A to Z」のトークイベントに行った。
今まで紹介した本が2000冊を超えた記念として行われた今回のイベントでは、
パーソナリティの北村浩子さんと芥川賞作家の長嶋有さんによる
トークが繰り広げられた。
長嶋さんの最新刊『愛のようだ』について、
さらにはお二人おすすめの本について、
たっぷり100分ほど、テンポよく濃厚なお話を聞かせてくれた。


長嶋さんのトークを聞くのは、
「文学賞メッタ斬り!」に引き続き、2回目。
思えば、2008年2月3日(http://lucksunblog.blog.so-net.ne.jp/2008-02-07)、
都心はまれにみる大雪だった。
積雪が予報されていた今回のイベント当日、
もし雪が降ったら、長嶋さんのことを個人的に
「雪男!」と呼ぼうと決めていたのだが、
残念ながら、冷たい雨に終わってしまった。


本書を初めて手に取ったとき、
そのタイトルと、“最初で最後の「泣ける恋愛小説」”という帯をみて
嘘だろうと思ったことを白状する。なぜなら、
今まで読んだ長嶋さんの小説は、
なかにほんのり恋愛のエピソードがあっても、
どっぷり甘い恋愛を描くことを
意図的に避けているように思っていたからだ。
著者は、恋愛よりも以前にある
人間関係に重きを置いているのだと考えていた。


40歳でようやく自動車免許を取った戸倉は、友達の須崎と
その彼女の琴美と一緒に、クルマで伊勢神宮に向かっている。
その道中の会話から、琴美は闘病中、しかもその病気は深刻で、
戸倉は琴美のことが好きだということがわかる。
が、その後、戸倉と琴美の関係が進展することはない。

第一話から第四話までインターミッションを挟みつつ、
戸倉は編集者の長嶺やライター仲間、ボードゲームの仲間などと
ドライブしている。その行先は都度ちがうのだが、
共通するのは車中あるいはサービスエリアなど、
どこかに行く途中だということだ。
そのなかで、彼らは延々と話しつづける。
過去にはやった歌謡曲、アニメやゲームについて、もしくは
特に意味もないよもやま話などなど。
男同士っていいな、と思う。
女同士だと少なからず駆け引きの要素が入ってくるものだが、
男って、良くも悪くもシンプルだ。
そこで話されたことにのみ集中し、会話が転がっていく。
そうした軽妙なやりとりを楽しむうちラストに向かい、そして
帯の惹句が正しかったことを知らされる。
ラストの一行に、思い切りやられてしまった。

前述のトークショーでも話題にのぼったが、
作中で「男とは」「女とは」に言及されていることが新鮮だった。
たとえば、
“男の多くは温泉を本当には、あまり好きではない。そこらのサウナでいい。”
“女は男以上に「(そこにいない)可愛い女の子」が好きだとも思う。”
などといった数々の文言に、著者の経験に基づく思考が
あらわれているのだと思えて、ひじょうに興味深かった。

本書は、いわゆるロード・ノヴェルといえるだろう。
個人的にはとても好きなジャンルだ。
読むほどに映像が喚起されるので、映像化されたら
さぞかし楽しかろうと思えた。
戸倉たちのせりふが、いつしか頭のなかで回りだす。
……「キン肉マン」の歌とともに。

本書の作中でドライブの友として、実に多くの音楽が流れるのだが、
知らない曲も多かったので、サウンドトラックをほしいと思った。
ということを、トークショーのときに長嶋さんに
伝えようと思っていて、すっかり忘れてしまった!

北村さんと長嶋さんのお話を反芻しながら
もう一度読んでみようと思う。
読むほどに新たな発見があるような気がしている。

愛のようだ

愛のようだ

  • 作者: 長嶋 有
  • 出版社/メーカー: リトル・モア
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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コメント 2

ミホ

うーん、ラストの1行が気になります(笑)!
最近ちょっと涙腺がゆるくなって、色んな事で涙のスイッチが入るのですが、本を読んで泣く事が増えた気がします。
ご紹介の本、手に取ってみようかな。
by ミホ (2016-02-29 00:44) 

lucksun

>ミホさん
軽妙でツッコミどころ満載な語り口を楽しんでいたら、
いきなりグサリとつかれたような感じです。
長嶋さんの本は文章そのものがとてもおもしろく、
読みやすいと思いますので、出張のお供にでもぜひどうぞ!
by lucksun (2016-03-02 12:50) 

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