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「エリック・サティとその時代展」 [アート]


「エリック・サティとその時代展」
7/8(水)~8/30(日)
Bunkamuraザ・ミュージアム


エリック・サティ(1866~1925)は
19世紀後半末から20世紀初頭に活躍した音楽家である。
芸術家たちが多く住んだモンマルトルで、
ピカソやピカビア、ブラック、マン・レイらと交流を深めるなか、
多くの作品を生み出した。

本展覧会は「第一章 モンマルトルでの第一歩」をはじめとする
5つの章で構成される。
サティと同時代に活躍した芸術家たちとの交流を通して
サティの姿を浮かび上がらせる。

サティは音楽家であるから、
自身の作品と呼べるのは手稿の類である。
サティの手による楽譜は思ったよりも見やすく、シンプルであるが、
ときおり雑に消した箇所や書きなおした痕跡などがあって、
思索のプロセスが見えるのが興味深い。
少しクセのある音符や文字も味わい深く、
それだけ眺めても面白いものだ。

また、サティにとって生涯唯一の恋愛相手であった
シュザンヌ・ヴァラドン(画家モーリス・ユトリロの母親)を
五線紙にスケッチした作品は、何ともいえずかわいらしかった。
サティが絵を描く意外さ、愛する人を描く純粋さ、
五線紙(をタテに使って)描くという生活感に親近感がわいてくる。

同時代に活躍したロートレックやピカソ、ピカビアらの
作品はもちろん見ごたえのあるものばかりだが、
サティ自身の手によるさりげない作品をひとつ観るほうが、
彼の核心により触れることができるように感じられる。

なかでもおもしろかったのは、
バレエ・リュス「パラード」の再演映像である。
個人的には、昨年の夏に行われた
魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」の続きとして観た。
(リンク先は当ブログ内の記事)

ディアギレフ率いるバレエ・リュスの舞台は、
衣裳と舞台芸術をピカソ、脚本をコクトー、
そして音楽をサティが手がけた贅沢なものだ。
いま観てもたいへん先鋭的で、
アイデアとユーモアがあふれている。
古典的なバレエから飛び出した
モダンでアクロバティックな動きは
先がまったく読めず、一瞬たりとも目を離せない。
時代の先端を走る芸術家たちが額を集めて、
お互いに切磋琢磨しながら作り上げた舞台のなんと濃厚なこと。
まさに、良き時代に生まれた傑作である。

サティの独特な音楽はいまでは多くの人に愛されているが、
発表当時はその不自然な音の運びに
違和感を覚える人も多かったのではないだろうか。
それが耳になじむうちに心地よさに変わり、いつしか
名作と呼ばれるようになっている。

サティの音楽が広く知られるようになったのは、
当時を代表する芸術家たちとの交流があったからこそだろう。
彼の身近に芸術を解し、奨励する人々が集っていたために
サティの音楽の価値が正しく評価され、
見いだされたのではないだろうか。
そう考えると、芸術が育つ環境はとても大切だ。
世に知られることがなければ、
それはないものと同じことになってしまうから。

<展覧会サイト>
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_satie/

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