So-net無料ブログ作成
検索選択

「アール・ブリュット☆アート☆日本」 [アート]


「アール・ブリュット☆アート☆日本」
3月1日(土)~3月23日(日)
ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
+近江八幡市内近郊7会場


noma.jpg
先日、ふと思い立って近江八幡に行ってきた。
ずいぶん前からヴォーリズの建築群をみたいと思っていたし、
時代劇(鬼平犯科帳、剣客商売など)に
よく登場する水郷も訪れてみたかった。

そんな折、近江八幡でアール・ブリュットのイベントが
行われることを知り、ナイスタイミング!とばかりに足を運んだ。

アール・ブリュットに興味を持ったのは、
昨年、世田谷美術館で行われた
「アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界」
がきっかけだった。
専門的な芸術教育を受けていない人、あるいは
障害を持つ人による作品を、
アール・ブリュット(生の芸術)もしくはアウトサイダー・アートと呼ぶ。
昨年、何度かアール・ブリュット関連の展覧会を観て、
これまで観てきた芸術作品とは違うものを感じた。
何が違うかはうまく言葉にできないのだが、
美しさの追求やメッセージ性とは違うところでの
創作にかける熱っぽさが伝わってくるようで、惹きこまれてしまったのだ。


このイベントでは、
「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」を拠点として、
近江八幡近郊にある古民家や美術館など7会場で
35作家の500作品超の展示が行われた。

アール・ブリュットは大変幅広く、
その作風もじつに多様である。
粘土の立体作品、毛糸を紙に通して描いたダイナミックな絵、
写真の連作、壮大なスケールの細密画など、技法はさまざま。
そして、そのすべてが新鮮な驚きに満ちている。
特別展示として、
日比野克彦さんの段ボールアート、
昨年のベネチア・ビエンナーレに出品した
澤田真一さんの立体なども出展されていた。

数多くの作品を観て回った中でも、
魲万里絵さんの作品は圧巻。
濃淡のはっきりした色づかいで隅々まで力強く描き込まれていて、
繊細でありながら、
作品全体から放たれるエネルギーに圧倒される。
モラル的にふれてはいけないものから目をそらすことができず、
どうしても描かずにはいられないという強い衝動が伝わる。
その熱は画面全体を覆い、観る者にも直視することを要求するかのようだ。

アール・ブリュットの作品群を観ていると、
緻密に描き込まれた作品が多いが、
作家たちは、そうしたプロセスを通して自身の心を見つめたり、
世界との関係性を探ったりしているのではないだろうか。
何を描くかより、
思うまま、感じるままに手を動かす行為にこそ意味があり、
その結果としての作品を完成させることで
何かを得ているのではないかと感じた。

かわいらしく見える絵であっても、
じっくり観ていくと、生の感情がふと表れていて
グロテスクな部分があったりする。
どちらかといえば、人物をはっきり登場させる作品は
少ないように思っていたが、
台湾の作家の作品群では人物をメインに描いたものがあり、
そうした違いもまた興味深かった。

そのほか印象に残った作家は、
松本寛庸さん、富塚純光さん、今村花子さん……
多すぎて書ききれない。

街の雰囲気を楽しみながら近隣の会場を回る仕掛け、
それぞれの建物のたたずまい、展示の見せ方に工夫が凝らされていた。
また、自宅に迎え入れるようなスタッフの方々の
温かい対応も心地よく、
ゆったりした気持ちで楽しむことができた。

会場に関していえば、「まちや倶楽部」がとても印象的だった。
1717年創業の旧造り酒屋の建物を利用した広々とした空間に、
ゆったりと作品が展示されていて、独特の空気が満ちていた。
立派な梁や酒造りの道具などが残された建物自体も
ふだんは公開していないとのことなので、貴重な機会となった。

今回のイベントに参加するうち、
アール・ブリュットに興味を持つ
きっかけが、相当昔にさかのぼることに思い当たった。
小学生の時、同じクラスに障害をもつ男の子がいた。
彼はいつもニコニコ笑っていて、優しくて、
そして粘土遊びが驚くほど上手だった。
彼が大好きな恐竜や動物の造形を、
鮮やかにかつ濃やかに再現して見せてくれた。
そのたび、私たちは歓声を上げたものだった。
何十年も昔のことですっかり忘れていたのだけれど、
記憶の底から突如として浮かび上がって来たことに驚いた。


アール・ブリュットの作品群は、
観れば観るほど関心が高まる。
作家についても、さらに知りたくなる。
おそらく、これからしばらくは
注目していくことになるのではないかと思う。



<ボーダレス・アートミュージアムNO-MA>
http://www.no-ma.jp/


nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。