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「トイレット」 [映画]

「トイレット」  (2010)

日本/カナダ
8/28公開

監督:荻上直子
脚本:荻上直子
撮影:マイケル・ルブラン
フードスタイリスト:飯島奈美
出演:アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー
    デヴィッド・レンドル、サチ・パーカー、もたいまさこ


「かもめ食堂」「めがね」につづく荻上直子監督作品。
今回のテーマは“家族”だ。

兄モーリーは、ひきこもりのピアニスト。妹リサは生意気で勝気な大学生。
弟のレイはプラモデルオタクで人間関係が苦手。
それぞれひとくせある3人は、母親を亡くしたことを機に、
遺された家で同居することになった。
猫のセンセーと、母親が亡くなる前に
日本から呼び寄せた“ばーちゃん”も一緒である。
ばーちゃんは英語が話せないため、彼女がどうしたいのか
何を考えているのか、3人にはまったくわからない。
毎朝トイレから出ると長い溜息をつくのだが、
その理由を知る由もない。
お互いを牽制しあい、猫のように微妙な距離を図るように見えたが、
彼らは徐々に、言葉すくないながらも不思議と打ち解けていくのだった。


ゆるりとしたテンポ、妙な安らぎを与えてくれる独特な空気感、
さらにはキャスティングのバランスの良さが作品全体を
ふんわりとした雰囲気にまとめあげている。
その中心にあるのは、もたいまさこの存在感だ。
言葉をほとんど発しないため謎めいた存在であるにもかかわらず、
そこにいるだけで安心感を漂わせる。
3人のきょうだいが徐々に変化を遂げていった理由もそこにある。
誰かがそばでじっと見ていてくれるということは、
何にも代えがたい安らぎを感じさせてくれるのだ。
だからこそ、3人とも自分自身に素直になれたのではないだろうか。
ことに、人の言動に敏感で、ときにナイーヴすぎるモーリーは
ばーちゃんが何を見ているのか、
無意識のうちにも感じることができたのかもしれない。

ミシン、スカート、ピアノ、エアギター、プラモデル……
そうした小道具が、得てしてファンタジックになりがちな
物語にリアリティを添えていた。
どこにでもあるような淡々とした日常の風景に見えて、
その人にとってはどれも絶対的な事柄である。
さらには、普遍的な思いを表現して観る者の共感を誘う。
せりふを多用せず、必要最低限の要素で構成した
脚本が奏功したのではないかと思う。

血のつながりなど関係なく、
一緒に住んでいれば、みんな家族なんだ。
おおらかな愛で包まれるような温かさが心地よかった。

<「トイレット」オフィシャルサイト>
http://www.cinemacafe.net/official/toilet-movie/



全然関係ない話だけど、あえて言いたい。

先日、つい出来心で「BECK」を観に行きました。
これは、わたしが今まで観たなかでもワーストに近いです。
あえて詳細は述べません。
バンド映画にあるまじき演出。そのひどさに閉口しました。
堤監督どうしちゃったの?
堤さんが大好きだから観に行ったのに。
若い男の子をカッコ良く撮ることにかけては堤さんは天才です。
それはゆるぎないのですけれど……、
キャストが良いだけに大変残念に思いました。

<「BECK」オフィシャルサイト>
http://www.beck-movie.jp/
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コメント 12

bluebird

またまた、「観たいけれど地元では上映なし」です・・
ただ、DVDでちんまり観ても、それはそれで良いかなぁ。
「かもめ食堂」「めがね」は、そうだったんですが・・
(あぁ、でも観たいなぁ)

荻上直子監督作品は、心がささくれた時に(笑)すごく恋しくなります。

BECK・・やっぱり^^;
ワタシ、最初から観ないって決めていました。
うん。
by bluebird (2010-10-02 22:48) 

クリス

よかったですね。
はじめての萩上監督でしたが、過去作品も観たいです。
おっしゃるように、なんといってもばーちゃんですよね。
言葉がないのに、あの圧倒的な存在感はみごと。

by クリス (2010-10-02 23:46) 

うつぼ

lovin姐さんの記事でも気になっていたのですが
ほんわかした気分になれる映画なんでしょうねえ。
ここのところ気持ちが荒むことが多いし、こういう映画で
和みたいです。(^_^;)
by うつぼ (2010-10-03 17:54) 

lucksun

>bluebirdさん
あらー、残念ですねえ。
地元の映画館にリクエストしてもダメかしらん?
DVDでも良いとは思いますけど、
やはり劇場のほうが魅力は伝わりやすいんじゃないかな。

「BECK」はですね(笑)、
演奏シーンがどう再現されるのか気になって観たんですけどね、
そりゃあねぇだろう!と心の中で絶叫してしまいました……。
良いところも(多少は)あるだけに、大変残念でした。


>クリスさん
わたしは「かもめ食堂」しか観てないんですが、
「トイレット」のほうが好みでした。
もたいまさこの“ばーちゃん”ぶりがすばらしかったですね。
3人のきょうだいもそれぞれに個性的で、
とてもかわいらしかったと思います。


>うつぼ姐さま
ほんわか和めますよー。
淡々としているんですけど、時々ほろりとする場面も……。
疲れた心をやさしく包んでくれると思いますので、ぜひ!


by lucksun (2010-10-04 00:25) 

lucksun

>+kさん
nice!ありがとうございます♪

>xml_xslさん
nice!ありがとうございます♪
by lucksun (2010-10-04 00:26) 

ミホ

トイレット面白かったですねぇ。久しぶりに満足感の高い映画でした。
かもめ食堂の時のもたいさんも素敵だったのですが、こんかいのバーチャン役は素晴らしかった。とくに「あの台詞」が(笑)!
個人的には弟のレイが作るスカートが可愛いなぁ~と感心してました。

lucksunさんが閉口する映画・・・。逆に気になります(笑)。
by ミホ (2010-10-04 08:27) 

ameya

トイレット。。。よさそうですね。
僕も見てみたい作品のひとつです。
記事、とっても参考になりました(^_^)
by ameya (2010-10-04 09:14) 

sicca

トイレット、いいですよね~。
あのゆったりとした時間の流れでのおたくっぷりとか、最高です。
今回はちょっとしか出てこなかった食事シーンでしたが、まんまと食べたくなりました(笑)
そして余談の件…。
そこまでの作品でしたか!
ちょっと怖いもの見たさな気分になっちゃいました。
by sicca (2010-10-04 23:24) 

lucksun

>ミホさん
たしかに、この映画は満足度高いですね。
脚本も映像もキャストも、これ以上ないほど
ハマっていたように感じました。
もたいさん演じるばーちゃんのあのせりふ、
あまりにもかっこよくてつい拍手したくなっちゃいました。
スカートの柄はちょっと北欧テイストっぽくてかわいかったですね。

「BECK」はおすすめしませんけど、
でも逆に、たくさんの人に観てもらいたいような気もします……(笑)。


>ameyaさん
荻上さんの作品はおそらく女子の人気が高いんだと思いますが、
男性の目からみるとどう映るのかしら?
インテリアや街の様子もすてきで見ごたえあります。
ぜひご覧になってくださいませ♪


>siccaさん
どこにも無理のないゆるりとした感じがいいですよね。
食事シーンは飯島さんの技が効いているのはもちろんですけれど、
みんながホントにおいしそうに食べているから、
ついつられちゃうんじゃないかな、と思います。

余談の映画は……うーーーむ、て感じです……。
堤さんなら、ただのアイドル映画に終わらせないだろうと
思ったんですけどねー(笑)。
でも、ここまで言うと逆に観たくなるかも!?
話のネタにはなるかもしれません(笑)。


by lucksun (2010-10-05 00:30) 

lucksun

>うつマモルさん

>c_yuhkiさん

nice!ありがとうございます♪

by lucksun (2010-10-13 23:17) 

lovin

今更ながら、かなり出遅れですみません。
すっかりこの記事、見落としてました。(泣)
トイレット、よかったですね。
そして、さすがlucksun姐さん、きちんと書かれています~。
BECKはどうしようかな?とあまり気乗りしてなかったのですが、
逆に観たくなったかも。(笑)
by lovin (2010-10-25 12:42) 

lucksun

>lovin姐さま
こちらにもコメントありがとうございます!
lovinさんの記事読んで、観る気マンマンで行ってきましたら、
とーっても良かったです。じーんときちゃいました……。
ご紹介ありがとうございました♪
「BECK」はですね。
演奏シーンなんて、けっこう迫力あっていいんですよー。
もしご覧になったら、感想きかせてください~。
by lucksun (2010-10-26 02:01) 

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